糸をほぐして

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     今年はホトトギスがたくさん咲いて。

     

     

    仕事が煮詰まっている。

    頑張っても頑張っても上手くいかないし、進んでいかない。

     

    こんなときは一旦手を離して、他の仕事を挟んだ方が上手くいく。

    経験上そうわかっていても、今回はそうしている時間がもうない。

    せめて一日・・

    今日は刃物に触らへん!

    仕事場にも座らへん!

    そう心に誓って過ごす。

     

    台所に座って、コーヒー飲みながらいろいろ考える。

     

    イラッとして引っ張って、もつれさせた糸をほどいていかなければならない。

    何をどうしたらいいのか、

    何が1番大切なのか、

    絡まった糸をまずほぐしていく作業。

     

    誰かに助けてもらえることは何もなくて、自分でなんとかしなあかんことばかり。

    諦めて、元気づけて・・心の中で自分と戦う。

     

    「大丈夫、大丈夫。」

     

    自分にそう言い聞かせる。

    少しだけほぐれた糸をもうからませないように、

    落ち着いて、ゆっくりと、でも確実に。

     

     

     


    どこまでも伸びていく

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      春の個展の際に、友人が贈ってくれた観葉植物。

       

       

      「きれいなお花もいいけど、作品展が終わっても長く一緒にいられる鉢植えもいいなと思って」

      そう言って。

       

       

      おかげさまで元気に育って、伸びすぎて重みで下がった先端から、また上向きに伸びている!

       

       

      東京と京都、なかなか会えないけれど、

      毎日このコを見ると友人のことを思い出す。

       

       

      もうすぐ会えるね!

       

      昔と変わらぬ笑顔を思い浮かべて、その日を楽しみに仕事に励む。

       

       

       


      小菊がきれいに咲いたから

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        たった1輪から、大きく育った小菊たち。

         

         

        小菊がきれいに咲いたから、お墓に持って行ってあげよう。

        そう思って、昨日出かけてきた。

         

         

        仕事場に父の写真があって、

        いつも一緒に仕事しているみたいな気分でいるもんやから、

        お墓参りもあまり行かない。

         

        花がきれいに咲いたのと、仕事がちょっと煮詰まっているから、

        気持ち切り替えたくて出かけたのもあるやろか。

         

        草抜きをしていると年配の男性が一人、ゆっくりと墓地に入って来はる。

        途中で追い越して来たひとや。

        少し離れた所から、お念仏を唱える声が聞こえてくる。

        その後、六地蔵さんの方にお参りしにまわると、自転車を押した男性が一人。

        「こんにちは」と挨拶を交わす。

         

        お墓で出会うお参りのひとは、男性の方が多い。

        私はそんなにしょっちゅう行くわけではないけど、行くたびによく一緒になるひともいはる。

        どなたが眠っておられるのかわからないけど、

        きっとみんな、

        会いたくて、話したいことがあって、ここに来る。

         

        「一生懸命彫るから、見守っててな」

        そう手を合わせて、帰ってきた。

         

        生きてはるときは耳遠かったから、こんな小さい声では聞こえへんかったよなぁ。

         

        ゆっくりと、大きな声で、

        目を見てなるべく笑顔で。

         

        長い会話は要点をかいつまんで通訳してたっけ。

         

        そんなふうに過ごしていた時間をふと思い出した。

         

         

        仕事場の写真の前にも、小菊の花。

         

         


        私の仕事

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          今年の台風にも負けなかったザクロ。綺麗に色付いて。

           

           

          気持良く晴れて、きっと観光地は賑わっていることやろう。

           

          集中して仕事していたら、身体のあちこちが不調を訴え始めた。

          ずっと座りっぱなし。

          休まなあかんとわかっていても、ついつい何時間も同じ姿勢のまま・・

           

          仏さんの仕事は、

          いつも楽しいと苦しいが綱引きしながらになる。

           

          彫り進めるにつれ、思っていることに腕がついてこないもどかしさで泣きそうになる。

           

          「これでいい思ったら、そこから先にはいけへん。一生勉強や」

           

          父の言葉が浮かんでくる。

          研ぎも彫りも、

          もっと上手くなりたいなぁ。

           

           

          どんな仕事も、

          楽しいことばっかりやないやろうし、

          圧倒的に苦しいことが多い仕事もあるやろうと思う。

           

          仕事ってそういうものやろうから、

          私も逃げずに向き合いたい。

           

           

           

          ハナミズキ、もう散ってしまったやろうか。

          少しでも長く彫ってたいけど、今日は少し歩いてこよう。

          元気に長く彫るために。

           

          無理のきかへん年齢になってきたのを自覚しながら、

          いろんな気持ちと葛藤しながら、今日も仕事する。

           

           

           

           

           

           

           


          心静かに

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            慌ただしかった10月と違い、穏やかにスタートした11月。

            今は香合仏を彫っている。

             

            季節が進み、桜の葉っぱも紅葉し出した。

            北向きの仕事部屋は急に寒くなり、母が作ってくれた膝掛けが活躍し始めた。

             

            コタツ布団を出したり、

            ラグを冬用に敷き替えたり、

            仏さんに集中したいけど、日々の暮らしもこなしていかなければいけない。

            洗濯物もたまるし、お腹も減るし。

             

            それでも「今仏さんを彫っているんや」という緊張感は常にあり、

            自分のまわりにピリピリとした空気を感じる。

             

             

            香合仏の仕事は、手を止めている時間が長い。

             

            迷っているのではない。

            見極めているのだ。

             

            掌に収まるほどの香合の中に、大日如来さまが入っておられる。

            細かい仕事やから、削り過ぎたら取り返しがつかない。

            少しずつ少しずつ、削っては目を離して、また削ってを繰り返す。

             

            久しぶりに登場した平刀。昔、父が譲ってくれたもの。

             

            私のさしがねは尺寸表記なのでわかりにくいかもしれないけれど、

            2厘の平なので、ミリ表記だと1ミリ弱。

             

            今、首回りを彫るのに使っている。

             

            こんなに細いと研ぐのも大変。

            指先の感覚を研ぎ澄まして。

             

             

            彫り始める前は、

            老眼鏡の度数を上げようか、それとも話題のハズキルーペを購入しようか・・?なんて考えていた。

             

            でも、仕事を始めると、ちゃんと見える。

            昔のように。

             

            「集中すると大きく見えるんですよ」

            って、以前はよくお客さんに言っていたけど、年齢には勝てへんなぁって思ってた。

            なのにめっちゃ見えてるやん。なんて嬉しいことなんやろう。

             

             

            ただ座って、静かに彫り続ける。

            父の声が聞こえる。

             

            「わしが言ったこと、ちゃんと覚えてるか?」

             

            覚えてるよ、お父ちゃん。大丈夫やで。

            心の中で会話しながら、彫らしてもらえる幸せを噛みしめながら、

            少しずつ、木を削る。

             

             

            この仏さまを心待ちにしてくれてはるひとの笑顔を思い浮かべながら、

            気持ち引き締めて。

             

             


            懐かしいひとに背中を押される

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              懐かしいひとの夢を見た。

               

              久しぶりのそのひとに、

              「いくつになったん?」と問いかけると、

              「49!」と笑顔で答えが返ってきた。

               

              あれ?私よりもう少しお兄さんやったはずやけどなぁ?

               

              そう考えながら話していて、ふと思い出した。

              思い出したところで、目が覚めた。

               

              あぁ、49で亡くならはったんやった・・

               

               

              父と相性の良かったそのひとは、お弟子さんの中で1番思い出が多いひと。

              子供の頃、よくかまってくれはったし、

              大人になってからは仕事のアドバイスをもらったこともあった。

               

              なんで出てきはったんやろう?

              彼の歳を超えていくんやということを、自分が意識しているからやろうか?

               

               

              「もっと彫りたかったですか?」

               

              心の中でそう問いかける。

               

              父にも、

              今も何度も同じことを問いかけている私。

               

               

              私の仕事を、どう見てはるんやろうなぁ。

              「せっちゃん頑張ってるやん」と、父の肩に手を置いて笑ってはって、

              「いやぁ、まだまだやわ」って父が言うてるような、そんな気がするなぁ〜。

               

               

              笑顔で出てきてくれはって良かった。

               

              私はまだこちら側にいる。

              生きて、元気に仕事が出来る。

               

              あちら側のひとにも、こちら側のひとにも、

              認めてもらえる仕事がしたい。

               

               


              柔らかく、暖かなものと過ごす幸せな時

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                昨日はお友達の個展のお手伝いに行って来ました。

                 

                 

                ひとつひとつ時間をかけて織り上げられた布たち、どれもみんな、丁寧な仕事です。

                 

                 

                 

                帽子などの小物から、コートなどの大きなものまで。

                 

                 

                次から次へとお客さまが来られて、たくさんの作品が旅立って行きました。

                これから活躍してくれるものばかり。それぞれの方を、暖かい気持ちにしてくれるんやろうな。

                 

                たくさんの素敵な作品に囲まれて、私も幸せな時間を過ごして来ました。

                 

                 

                だんだんと寒くなってきて、桜の葉っぱも紅葉し始めて。

                にゃんこの温もりが恋しい季節です。

                 

                 

                 


                秋晴れの午後に、にゃんこたち。

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                  久しぶりに、ねこ道へ。

                   

                  「いるかな〜?」お天気いいから、誰かいてくれるやろう。

                   

                   

                   

                  あっ、いたいた♪

                   

                   

                  ひなたぼっこで、だんだん溶けていくにゃんこたち。

                   

                   

                  朝晩冷え込むようになったけど、日中は過ごしやすい。

                  今日は顔見知りのコにたくさん会えた。

                   

                  この後、新たに見つけた別のねこ道にも。

                  そっちでもいつもの2匹に会うことが出来た♪

                   

                   

                  我が家では、にゃんこに会えた日は「良い日」ということになっている。

                   

                  くたびれ果てて足取りの重い帰り道でも、

                  「たたたっ」っと誰かが前を横切ったり、

                  「にゃあ〜ん」と顔見知りのコに挨拶されたりすると、

                   

                  「あぁ、今日は良い日やったなぁ〜」と思えてしまう。

                   

                  そして、また頑張ろうって思える。

                   

                  今日はたくさん元気をもらった。

                   

                   

                   

                   

                   


                  季節外れの蝉?

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                    9月29日のこと・・

                     

                    買い物から帰ってきたときに、ふと見ると・・

                     

                    「えっ!?」

                     

                    蝉・・やんなぁ?めっちゃ小さいけど・・

                    なんか、おしり尖ってる。足、本数少ない?

                     

                    うそぉ〜!明後日から10月やで〜それに明日、台風来るんやで〜!!

                     

                     

                    前日は暑かったけど、だからといってなんでこのタイミングで(泣)

                     

                    それとも、蝉に似ているけど蝉やないのでしょうか?

                    夕方見たときにはもういなくなっていました。

                     

                    次の日は台風。

                    あのコ、どうしたやろうなぁ〜・・

                     


                    ギャルリ・サンクさんでの作品展、終了しました

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                      秋の連休を挟んで5日間の奈良「ギャルリ・サンク」さんでの作品展、終了いたしました。

                       

                      お天気も心配でしたが、降ってもパラパラ程度で、

                      ちょうど奈良映画祭と重なって人通りも多く、遠方からお越しの方にもご覧いただけました。

                       

                       

                       

                      中日の23日にTVの撮影があり、いつもの個展とは違う雰囲気に・・

                       

                      自分の撮影より、作品の撮影してはるときの方が緊張しました。

                       

                       

                      私の作っているものは小さいものが多いので、それがTVの大画面に映し出されると考えただけで身震いします。

                      細かく細かく削っているけど、大写しになったらどんなふうになるんやろう?

                      めっちゃ不安やったけど、ディレクターさんがモニターを見せてくれはって、ちょっと安心しました。

                       

                      「あぁ、ちゃんと仏さんの顔で映ってはる」

                       

                       

                      私は、自分がすごく技術があるわけではないとちゃんと自覚しています。

                      すごい技術のあるひとを、ずっと身近に見ていたので。

                       

                      今でも、技巧を凝らして美しい仏様を彫る方はたくさんおられるけれど、

                      私の役割はそれやないと思っています。

                       

                      一人一人の方にとって身近な、そのひとだけのかけがえのない仏様が彫りたい。

                      何体か並んだ中から、選んで連れて帰ってくれはるその瞬間に立ち会えることを、

                      いつも幸せに思っています。

                       

                       

                      今回の作品展も、たくさんの出逢いがありました。

                      お地蔵さんだけでなく、ふくふくにゃんこやアクセサリーもたくさん旅立っていきました。

                       

                      お話させていただけなかった方も、ご覧いただきありがとうございました。

                       

                       

                      そして22日23日に、手伝いに来てくれた娘。

                      小学生の頃、哲学の道「洗心」で一緒にお店番していた娘。

                      今では大学生になり、私の心強い相棒です。

                       

                      説明もばっちりで、お客様が重なったときには本当に頼りになります。

                      何度か「作家さんですか?」と間違われていましたが(笑)

                       

                       

                      今回、ギャラリーのオーナーさんが、こんな素敵な写真を撮ってくださいました。

                       

                      長く二人で仕事をしてきましたが、こういった場面での写真は1枚もなく、

                      私にとっては宝物の1枚になりました。

                       

                       

                      ギャルリ・サンクの高市さん、在廊を手伝ってくれた友人、搬出を手伝ってくれた友人、

                      その他にも、たくさんの方に助けていただき、無事に会期を終えることが出来ました。

                      皆さん本当にありがとうございました。

                       

                      次回は12月16日から、今回お世話になったギャルリ・サンクさんでのクラフト展に出展予定です。

                      クリスマスプレゼント向きのアクセサリーを、数点展示させていただきます。

                       

                       

                      その前に仏様の仕事です。気持ち整えて、次に向かいます。

                       

                       

                       

                       

                       



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