よっぽど急いでいるとき以外は、ちょっと遠回りしても、ネコに会える道を通る。
今日もそう。あたたかくなってきたから、陽だまりのネコ団子に会える確率も上がってきた。
残念ながら今日は会えなかったけど
・・もう、ずいぶん長いこと、ネコをだっこしていないなぁ〜・・
顔見知りの野良にゃんの何匹かは、さわらせてくれるけど。
大吉はだっこが嫌いやった。
若いころは、無理やりだっこすると、ぴかぴかの毛並みの、ぷるんぷるんの身体をよじって、
“にゅるん”と逃げ出してしまった。
その大ちゃんが、歳をとって、痩せて、目も、耳も、鼻も、悪くなって、散歩に行けなくなって。
そんな大吉をだっこして、秋の日差しの中、散歩に出ると、おとなしく私の腕に抱かれて、
かすかに風やお日様を感じるのか、
気持ちよさそうに、鼻をひくひくさせていた。
私は、あのだっこ嫌いの大吉がおとなしくだっこされているのがかなしくて、
でも、うれしくて、
すごく複雑な気持ちだった。
大が逝ってしまってしばらくして、哲学の道にあったのび工房さんに、報告に行ったとき・・
お店番していたぶうちゃんの頭をなでさせてもらったら、
あたりまえなんやけど、あったかくて、そしたら“ぶわぁぁ〜〜っ!!”と泣けてきて。
「あかん、無理です〜〜っ
」って、号泣してたっけ。
それから2年くらい、にゃんこさわることが出来なかった私。
5年半が過ぎて、今はもう大丈夫になって、
顔見知りの野良にゃんに、名前をつけて呼んでたりもする。
そして外に出る日はいつも、
「今日はにゃんこに会えるかなぁ〜?」と思いながら、にゃんこ道を行く。
電車に乗って出かけた先でも、いつもどこでも探している。
私と娘は家に帰って顔を合わすと、
「今日にゃんこ見た〜
」と、今日出会ったネコの数を報告しあう。
ちなみに今日わたしが出会ったコは4匹。奈良の街角で、自転車の陰に、3匹。
帰り道で顔見知りのコ、1匹。
そして、他のコを見るたび、大吉を思い出す。
若かったころのぬくもりも、痩せて骨ばって、でも、安心して私に身体を預けていた感触も。
明日は何匹出会えるのかな?
そしていつになれば、もう一度大ちゃんに出会えるのかな。
次もやっぱり、だっこ嫌いなんやろうか。
はよ会えるように、頑張らんとあかんなぁ。