つながっているもの

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     塗料のビンに入っていたビー玉。綺麗なので捨てられなくて。

     

     

    「ちょっと仕上げするには切れ味が悪いなぁ」

    そう感じるときは、荒砥は使わず上げ砥(仕上げ用)だけで研ぎを済ます。

    刃先が欠けたりしている訳ではないし、荒彫り、中彫りなら十分な切れ味やけど、

    仕上げのときは削った面が濡れたように光らなければいけない。それには足りないとき、上げ砥でもう一度刃を磨き上げる。

    私が刃物を研ぐときに使う研ぎ板(砥石を置く板)は、父から譲り受けたもの。

    何十年使っていたものを私に譲って、自分はまた新しく作っていた父。

    使うときいつも父を思い出す。

     

    ものごころついた頃から「あとを継ぐんや」と言っていた私。

    「女には無理や」と言い続けた父。

     

    何年も、何回も繰り返されたその会話。

    最終的に同じ道に進むことを認めてくれた父は、必要なものを一緒に準備してくれた。

     

    二人で新しく作ったもの。

    父が買ってきてプレゼントしてくれたもの。

    そして自分の使っている中から譲ってくれたもの。

     

    愛用の品を、どんな気持ちで娘に託したんやろう。

    今も使うたびに考える。

     

     

    もし、我が子が同じ道に進みたいと言ったら・・

    娘にその気はなさそうやけど、自分に置き換えて考えてみることがある。

     

    嬉しい気持ちと、「やめといたらいいのに」という気持ちと、

    きっと半々。

    だって、道のりはとても険しい。

    技術を磨くのは簡単なことではないし、気持ちはいつも張りつめてるし。

     

    代々続いた職業ではない。

    木や道具を大切にする気持ち、気持ちを研ぎ澄まして作りあげること、

    いつかは誰かに伝えたいけど、それは我が子でなくてもいいと思う。

     

    それよりも伝えてほしいこと・・

    いつか幸せに結婚して、

    生命をつないで、ずっと先で

    「ウチのご先祖さまで父娘で仏師やった人がいはって、この仏さんその人らが作らはったんやって」

    そんなふうに、つながって、残っていけたらいいのになぁ。

     

    時折そんなことを考えながら仕事をしている。

     

    父が譲ってくれた道具も、父が使い続けた道具も、今はどちらも私の手元に。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


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