昔、洗心で

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     仕事場の引き出しの中、白生地に包まれて眠っておられる仏さま。

     

    今はもうなくなってしまったけれど、哲学の道に「洗心」というお店があって、そこに置いてもらっていた仏さまです。

    額装して、壁に飾ってもらっていました。

    2体あって、1体はご縁があって旅立っていきましたが、この方はウチに帰ってきました。

     

    額からはずして、今は引き出しに入ってはります。

     

    彫ったのはもう10年くらい前になるでしょうか。

    ふくよかな手足、引き締まったお顔。30代の頃の作品、今彫ってもこんなふうには彫れへんなぁ・・と思います。

     

    この仏さまを覚えていてくださって、

    「あれ、良かったよねぇ」と言うてくれはった方がおられました(ブログに載せてって言うてくださってたのに、遅くなって申し訳ありません)

     

    もともと百貨店の催事用に作ってくれと言われて、

    その頃他の仕事もしていたし、娘もまだ小さかったし、なんとか時間をやりくりして何日も徹夜をして、ふらふらになって彫った仏さまです。

    「自分が思うことに手がついてくるまで何年もかかる」という父の言葉を思い出しながら、苦しんで、でも精一杯彫った仏さま。

    上手い下手でいうと決して上手くはないと思っていたので、帰ってきはったときに引き出しにしまってしまいました。

     

    仏師としてきっちりとした仕事をする父を見て育ちました。

    自分も修行にも出たので、たくさんの決まり事の中で仏像が作られていることはとてもよくわかっています。

     

    そういうところを離れて、もっと身近な仏さんが彫りたい・・と思っても、「崩したらあかん」と思ってしまう自分もいました。

     

    でも、ひとの心に響くのは上手い下手やないんや、

    決まり事にきっちり沿って作ってなくても伝わるんやと、

    最近ようやく納得できるようになりました。

     

    教えてくださったのは私のお客さまたちです。

    この仏さまのことでも、ずっと覚えててくれはったことはとても嬉しいことでした。

     

     

     

    実はもう1体、あのとき彫りきれなかった方がおられます。

     

    あれからいろんなことがありました。

    今やったら、柔らかいお顔に仕上がらはるような気がします。

    途中で止まったまま10年経ちましたが、いつか仕上げて見ていただけたら・・と思います。

     

     

     

     

     

     

     

     

     


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