心静かに

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    慌ただしかった10月と違い、穏やかにスタートした11月。

    今は香合仏を彫っている。

     

    季節が進み、桜の葉っぱも紅葉し出した。

    北向きの仕事部屋は急に寒くなり、母が作ってくれた膝掛けが活躍し始めた。

     

    コタツ布団を出したり、

    ラグを冬用に敷き替えたり、

    仏さんに集中したいけど、日々の暮らしもこなしていかなければいけない。

    洗濯物もたまるし、お腹も減るし。

     

    それでも「今仏さんを彫っているんや」という緊張感は常にあり、

    自分のまわりにピリピリとした空気を感じる。

     

     

    香合仏の仕事は、手を止めている時間が長い。

     

    迷っているのではない。

    見極めているのだ。

     

    掌に収まるほどの香合の中に、大日如来さまが入っておられる。

    細かい仕事やから、削り過ぎたら取り返しがつかない。

    少しずつ少しずつ、削っては目を離して、また削ってを繰り返す。

     

    久しぶりに登場した平刀。昔、父が譲ってくれたもの。

     

    私のさしがねは尺寸表記なのでわかりにくいかもしれないけれど、

    2厘の平なので、ミリ表記だと1ミリ弱。

     

    今、首回りを彫るのに使っている。

     

    こんなに細いと研ぐのも大変。

    指先の感覚を研ぎ澄まして。

     

     

    彫り始める前は、

    老眼鏡の度数を上げようか、それとも話題のハズキルーペを購入しようか・・?なんて考えていた。

     

    でも、仕事を始めると、ちゃんと見える。

    昔のように。

     

    「集中すると大きく見えるんですよ」

    って、以前はよくお客さんに言っていたけど、年齢には勝てへんなぁって思ってた。

    なのにめっちゃ見えてるやん。なんて嬉しいことなんやろう。

     

     

    ただ座って、静かに彫り続ける。

    父の声が聞こえる。

     

    「わしが言ったこと、ちゃんと覚えてるか?」

     

    覚えてるよ、お父ちゃん。大丈夫やで。

    心の中で会話しながら、彫らしてもらえる幸せを噛みしめながら、

    少しずつ、木を削る。

     

     

    この仏さまを心待ちにしてくれてはるひとの笑顔を思い浮かべながら、

    気持ち引き締めて。

     

     


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