白檀の香り

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     目の前の木くずの山を見つめながら、思う。

    「ほんまに匂いがわからへん。」


    木が香っていないわけではない。

    私が感じなくなっているだけ。

    白檀の香りのする家で育った。だから、香りに慣れてしまっていて、

    削っていても、感じない。ときどき不安になって、鼻を近づけてみる。


    あぁ、しっかり極上の匂いがする。・・なんだか木に申し訳ない。


    そんな私でも、作品を箱に詰めて出かけた先で、蓋を開けたとき、

    周りに満ちていく香りに圧倒される。


    「木くずに埋もれて生まれてきて、木くずに埋もれて死んでいくんやさかい」

    昔 父に言われた言葉。

    そんな人生、なかなか過ごせないよね。


    そうなれるように、これからも、たくさんたくさん木を削ろう。



    幼なじみの貴女へ

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       小学1年から中学1年まで、7年間同じクラスで

      家は学区の端と端やったけど、同じそろばん教室に通って、中学ではクラブも一緒で。

      毎日学校で顔合わせてるのに、

      しょっちゅう長電話して(笑)


      高校は別々になって、

      連絡とることもほとんどなくなって、

      弟子入りして修行に入った私に、ある日届いた「結婚します」の知らせ。

      仕事休めなくて、いけない代わりにお花を贈ったら、久しぶりに電話くれたやんなぁ。

      あのとき貴女が私に言った、

      「彫って彫って彫りまくれ!」が、ずっと頭に残っていて。


      それから、月日は流れ、私は一旦、彫刻を離れて。


      私も結婚して、娘も生まれて、

      京都を離れていた貴女とは、年賀状だけの付き合いで、

      何年かして京都に戻ってきたよと聞いたときも、「じゃあ会おか!」となったわけでもなかったけれど、

      年に一度ぐらい、道でばったり会ったときは、必ず声かけてくれたやんなぁ。


      ずっとそんな関係で、

      そのうちお互い旧姓に戻ってて(笑)


      何度目かの年賀状で名字がかわってた貴女。「あぁ、もう一回良いご縁があったんやなぁ」


      距離が縮まることもなく、

      けれど途切れることもなく、

      20年以上そんな関係で。


      初めての個展のDMも、来てくれるとは思ってなかったけど、

      でも、貴女が言ったあの言葉がずっと心に残ってて・・・

      「遠回りしたけど、ここまできたよ」って、報告したかってん。


      そしたら、来てくれたやんなぁ!それも、見覚えのあるひとと二人で!!


      あれから、一気に縮まった距離、たくさんの楽しい時間、本当に感謝しています。


      それと、


      いつも、私の娘を可愛がってくれて、ありがとう。

      美味しいご飯食べさせてくれてありがとう。


      あちこち探し歩いて、娘専用のグラスや茶碗を揃えてくれたことも、めっちゃ嬉しかったよ。




      お誕生日、おめでとう!!

      今日からまた同い年、もう一人が追いついてくれるのを、二人で待っていようなぁ。


      三人、四人の時間ももちろん楽しいけど、

      ときどきある二人の時間が、昔に戻ったみたいで大好きです。


      これからも、どうぞよろしく



      黒檀の蓮華

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            もうすぐ、蓮の季節ですね。

        去年、花を見に行った三室戸寺では、境内の茶店で“蓮ご飯”を出してはりました。

        蓮の実が入ったご飯で、豆ご飯みたいで美味しかったですよ。


        さて、お知らせがひとつ。一緒にお仕事させてもらっている 二方屋さんが、

        7月5日から東京駅前の京都館で展示会をしはります。

        私がコラボでさせてもらっているおりんの台も、少しですが並びます。


        今回、黒檀の蓮華を彫りました。

        いつも彫っている楠の蓮華と同じデザインなのですが、木が変わるとがらっと印象も変わります。

        楠は柔らかいやさしい感じの蓮華なのですが、
        黒檀はきりっと、そして力強い感じに仕上がっています。

        木が堅くて、なかなか一度にたくさん削れず、
        長時間彫っていると手のひらが腫れてきて苦労しましたが、良いものに仕上がりました。


        もちろん他にもたくさん、いろんな大きさ、デザインのものを出展されます。


        ひとつひとつ違う音色、続けて鳴らせば別世界へ引き込まれるような気分になります。

        お近くの方、お時間ありましたら是非。


          響展2
          
          京都館(JR東京駅八重洲中央口徒歩1分)
          
          7月5日(金)から10日(水)

          10:30から19:00(初日12:30から、最終日16:30まで)


        こんな日もあるやんね

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           今日は、堺市まで展覧会を見に行く予定だった。

          でも、ここ何日か家にこもって仕事をしていたので、なんだかお出かけモードに切り替わらず・・・

          どうしようかと悩んでいるうちに、時間はどんどん過ぎていくし、

          どうしても気持ちが切り替わらないので、日を改めることにした。


          でかけるのはあきらめて、さあ、何をしよう?ということになって、少し掃除をしようと思った。


          最近、ものを減らすことを心がけていて、

          ゴミの日のたびに30ℓのゴミ袋分(普段は5ℓ袋でも余るくらい)のものと、さよならしている。

          もともと片づけが下手なので、

          あちこち手をつけると これまたどうにもならなくなるので、

          今日はこの引き出し!とか決めて少しずつ。


          今日手をつけたのは古い年賀状の入っている引き出し。

          順番に手まわしのシュレッダーにかけていたら・・「ばきっ

          ・・・シュレッダーが、壊れてしまった


          今日はどうもうまくいかない。

          気持ちもなかなか浮かんでこないし。

          でも、明日のパンも牛乳もない。

          がんばって、出かけてくるか。シュレッダーも買ってこないと

          芽が出たよ

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             3年くらい前のゴーヤの種の残りを発見。 ダメもとで蒔いてみた。

            やっぱりあかんかったなぁ〜と思った頃に、出てきた葉っぱ。



            実はその前に出てきた芽があって、最初、これがゴーヤだと勘違い・・・

            こっちは芽が出てしまったじゃがいもを埋めたんやった

            実がなる、ならへんは別として、

            元気な葉っぱは気持ちがいい

            雨降り

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               今日はJEUGIAカルチャーの仕事の日。

              2時間の教室を終えて外に出ると、鴨川が濁流に

              窓のない部屋で仕事しているので、教室をしている間は、外の様子は全くわからない・・・

              行きに四条大橋渡ったときは、なんともなかったんやけど

              2時間の間にめっちゃ降った?それとも上流でめっちゃ降ったん??

              少しの時間でこんなにも変わってしまうんやねぇ・・


              聞こえていますか

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                 今日、久しぶりにお墓へ行った。

                「お父ちゃんあっついなぁ〜!!」などと話しかけながら墓石を磨いていく。

                いつも仕事場で写真と向かい合わせで仕事しているので、

                毎日一緒にいるみたいなもんなんやけど、
                なんとなく、久しぶりに会いに来たみたいな話し方になる。


                ふと、

                こんな声で聞こえてるんやろうか? と思う。


                父は耳が遠かった。若いころ京都に出てくる前、旋盤工をしていたと言っていた。

                そのせいだと言っていたように記憶している。
                だから、私が生まれたときにはもう、そういう状態だった。


                私は小さい頃からいつも、父の通訳だった。

                一緒に田舎に帰っても、
                親戚のみんなが話しかけてくるのをにこにこ聞いていて、となりにいる私に

                「なんて言うてるんや?」と聞いてくる。

                そのたび私は、「あんな、」と、声を張り上げて説明する。


                「すまんな、わし、耳遠いから、聞こえへんのや」

                父はいつも、誰にでも、笑顔でその言葉をくり返す。

                田舎に帰ったときに限らず、一緒にいるときはいつも私に聞いてきた。

                なんでも聴き取りやすい音程と、そうじゃない音程とあるらしくて、

                私の声は聴き取りやすいのだそうだ。

                私も大きくなるにつれ、要点だけをかいつまんで伝えることを覚えていった。

                今思えば国語の勉強に役立っていたかも。


                父が逝ってしまって、腹の底から声を出すことがなくなってしまった。


                大きな声で、ゆっくりと。

                いつも笑顔で、話しかける。


                脳梗塞で入院しはったときは特に、「笑顔」を心がけるようにしていた。


                ときどき昔のことと、今のことがごっちゃになってしまわはるお父ちゃんに、

                一番不安なのは本人なんやから、「それ違うやろ!」って怒ったらあかんって、

                いつも自分に言いきかせてた。


                今はもう、普通の声で話しても、

                心の中でつぶやいても、

                私の声は、

                聞こえていはるんやろうか?

                でもなんだか、それではこっちが頼りなくって。


                ときどき、耳の遠い方とお話する機会があると、私はなんだか嬉しくて。


                「あぁ、お父ちゃんと話してるときみたいやな」って、思う。



                墓石を磨きあげて、ロウソクと線香に火をつけて、おりんを鳴らす。

                よく陽のあたる墓地に、1寸4分の小さなおりんの音が、響き渡る。

                「えぇ音やなぁ〜」

                一瞬、通りを走る車の音が、遠くなったように感じた。


                お父ちゃん、聞こえてる?

                いつもの笑顔で、笑ってくれてる?


                私の声は、聞こえてますか?

                自分で選んだ道やから

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                   最近、朝目覚めたときに、娘が横にいないことが多い。

                  布団2枚並べて寝ているんやけど、「あぁ、またか」って感じ

                  どこにいるか・・・自分の部屋で力尽きているか、寝ずに勉強していたか。


                  高校2年生になってコース変更して、1年のときより勉強が大変になって、

                  私より先に寝ることもほとんどなくなって。


                  負けず嫌いの娘やから、

                  楽な方に流れられへん娘やから、

                  自分で選んだ道やから、見守ってやろうとは決めているけど、

                  母は身体が心配です

                  昨日は徹夜、晩ご飯のあと眠ってしまった娘を、

                  このまま寝かせてやりたいけれど・・・

                  お地蔵さん

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                    私が彫るお地蔵さんは、約1寸と、とても小さくて、持ち歩けるように袋をつけてお渡ししている。


                    ご夫婦で1体ずつ持ってくれてはる方があって、

                    「背広のポケットに入れて、いつも会社に持って行ってはるんやで」

                    奥さんからそう聞いていたご主人が、

                    急逝されたと知ったのは、何日か経ってから。


                    「おっちゃん、お地蔵さん持っていかはったで」



                    お寺や仏壇にいはる仏さんは、触れられないものだけど、

                    自分だけの仏さんとして、あるいは大切な誰かの面影をうつして、

                    いっぱい触って、いっぱい話しかけてほしい、そんな想いで彫っているお地蔵さん・・・


                    寄り添って、一緒に行ってくれはったんやね。


                    どうか穏やかに、

                    彼の岸に渡らはりますように。


                    私が彫ったお地蔵さんが少しでもそのお手伝いが出来るなら、とても嬉しい。


                    また逢える

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                       にゃんこがいっぱい出てくる夢を見た。

                      娘と、どこからかの帰り道、ねこを見かけて、
                      「こっちの道行ってみよか」と入り込んだ、住宅街の先の原っぱはねこだらけ・・・

                      そんな夢だった。


                      ねこ、長い間さわってないよなぁ〜・・・

                      さわったらさわったで、大吉とくらべてしまうんやけど。


                      大が逝ってしまって、4年半。
                      最近では、出かけるとねこに会えそうな道を選んで歩いている自分がいる


                      大が亡くなるとき、初めて出逢ったときの光景が急に頭に浮かんで・・・

                      私の顔を見てまっすぐ歩いてきた仔猫の大に、運命を感じて連れて帰ったんやけど、

                      「あぁ、初めてやなかったんや」って、

                      きっとどこかで出逢っていて、再会したんやって。

                      私を見つけてくれた大ちゃんが、私に向かって歩いて来てくれたんや、だからきっと、

                      また逢える・・・!!


                      そう思って、腕の中の大を見送った

                      22年半生きたんやから、大往生やったんやけど、なかなか立ち直れなくて、
                      長い間めっちゃへこんでて

                      でも、

                      もう一回大に逢うんや!また一緒にかけっこするんやっ!!だから頑張って働くんやっ!!


                      そう決心したときに、

                      「つなぎ100本ねこ1000匹」そんな数字が頭に浮かんだ。


                      その頃の私は、まだねこはほとんど彫っていなくて、
                      ふくにゃんもちびにゃんも生まれていなかったのだけれど、

                      なぜだか「ねこ1000匹」って思った。


                      ・・・あれから、月日が流れて、つなぎ100本はほぼ達成したと思うけど、

                      ねこ1000匹にはまだまだ遠くて。

                      なんで1000匹やなくて100匹にせぇへんかったんって思うときもあるけど、

                      でも浮かんだ数字は「1000」やったから。そういう直感て、大事にしたいし。


                      きっと、

                      たいせつなひと(ねこ?)には、そう簡単にはめぐりあえないってことなんやね。

                      でも今生でもう一度出逢いたいから、

                      その日を信じて、
                      たくさんたくさん、ねこ彫ります




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