今日は午前中の仕事にかかる前に、まな板の鉋(かんな)かけをした。
木のまな板は、使っているうちによく使う真ん中がへこんでくる。
それをかんなをかけて、また平らにして、使いやすくする。
「まな板合わせをする」 ウチではそう言っている作業。
幼いころから、父がそうする姿を見てきた。我が家では当たり前のこと。
でも、たぶん一般家庭では 「?」 なこと(笑)
どこの家にでも、かんながあるわけではないんですね。
私が結婚したとき、相手のひとはひとり暮らしをしていたひとで、まな板は持っていたので、
木のまな板じゃあなかったけれど、そのままそれを使うことにした。
娘と二人になって、何年かして、
「う〜ん、やっぱり木のまな板がいいなぁ」 と、そのまな板にさよならすることにした。
で、買いにいくと・・ない!!
・・私がほしい木のまな板は、ひのきの一枚板のもの。
でも、売っているのはみんなはぎ合わせのもの。
ひと昔前は普通に売られていたものが、今では手にはいらないんや〜と、愕然とする。
もちろん、百貨店に行けば売っているけど、それはちょっと手が出せない値段。
え〜っ、どうしよう?でも、これから一生使うんやから、一枚板のものがほしい
なんで一枚板にこだわるかというと、
はぎ合わせだと、かんなをかけるときにうまくかけれるかな?と思ったから。
もし木目の逆目正目の方向がちがってはり合わさっていたら、
きれいに削ることが出来ひんやんなぁ。
大丈夫かもしれへんけど、買ってみてやっぱりあかんかった!では、悔いが残る。
で、結局、サイズ、値段ともに納得できるものに出会えるまで、1年以上かかったけれど、
めでたく「ひのきの一枚板」のまな板を手にいれることが出来た。
いい香り!そしていい音!大事に使うしね、これからよろしくね
そうやって使い始めて、何年かが経った。
料理は嫌いじゃないけれど、家族は二人、おかずの品数も多くはない我が家では、
そんなにしょっちゅう、まな板を削って合わせることもない。
かんな台を置いて、まな板をのせて、大きなかんなで表面を削っていく。
ひのきの白い木肌が現れて、良い香りがただよってくる。
かんなかけは、父から直接手ほどきを受けた数少ない仕事のひとつ。
暑い夏の日に、二人でかんなくずに埋もれてたことを思い出す。
普段あまり使わない大きなかんなも、息を吹き返したかのよう。いきいきしているように感じる。
まっさらみたいになったまな板。これからもよろしくね。
実家で母が使っているまな板は、もう、ずいぶん薄くなって。
でも、父がいなくなった今でも、母は大事にそれを使っていて。
何度も、何度も、削ってもらった思い出と一緒に、
大切に、使い続けているんだと思う。
近いうちに、まな板合わせしに行こうかな。
父のかんなで、父のかわりに。