おりんを包み込む蓮の花
暑い夏の間、仕事してる私の傍にあった一枚の写真。
8月、彫っていたのは蓮の花。おりんの二方屋さんとのコラボ作品。
二方屋さんと知り合って、初めて「響展」に足を運んだのは4年前。
会場に並んだたくさんのおりんを順番に鳴らして、ひとつひとつ違う音が重なりあって広がっていく空間で、
「極楽にいるみたい!!」と思った私。
いつかおりんを包み込む蓮華を彫りたい!・・その想いを今年やっと、実らせることが出来た。
仏師の修業中から蓮華を彫るのが好きやったけど、あくまでも仏像の台座の一部。
それだけでは作品にならない。
でも今回は、おりんと蓮華、どっちもが主役。ひとつのパーツとしての花ではない。
どちらも引き立てあって、より良いものになるように・・そうするにはどんな花にしたらいいやろう?
考えて、仏像の台座の蓮華と、現実に咲く蓮の花との、間ぐらいの形を目指した。
花びらの形も、台座の蓮華よりも薄く、やわらかく表現することを心がけ、貼り重ねていくのも変則的にした。
実際の蓮の花は、均等に花びらが開くわけではないので、一か所ずつ花びらの開き加減を変えるようにした。
その結果、次に重ねる花びらの調整にも時間がかかり、一日に2枚くらいしか進まないことも・・
花びらのの内側を彫るのに使う、「曲がり」の丸刀や、
花びらの先端のやわらかな曲線を出すのに使う、「なぎなた」に研いだ切り出し刀。
堅い木で、やわらかい花びらを表現する・・
傍らの写真を眺めながら、他の蓮の写真もあれこれ見ながら、
時折おりんをのせて、バランスを確認しながら、少しずつ進んでいく仕事。
そして出来あがった、私だけの蓮の花。
今年の二方屋さんの響展で見ていただけます。
京都響展stage6
9月3日(木)〜9日(水)
10:00〜18:00(最終日16:00まで)
京都市中京区夷川通寺町西入ルの、idGalleryで。
1寸8分のおりんと、蓮の花が作り出す世界を、見て、聴いて、感じていただけたら・・と思います。
12月の東京神楽坂での三人展にも、出展予定です。
今回ご縁があって旅立てば、また違う蓮の花を咲かせます
- 2015.08.31 Monday
- 作品
- 15:14
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- by けっち