満月の夜に

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      きれいなお月さんでしたね。 

    月明かりに魅かれて、二人で散歩。 娘と私、ぶらぶら歩いた。

    なんのことない話をしながら、時折立ち止まって、
    「きれいやなぁ〜!!」 と、一緒に空を見上げる。

    このコがいてくれて、よかった。

    そう思った。
    幸せな時間やった。

     

    お彼岸に

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      川沿いの道、立ち止まって川を眺めてる、70代くらいの男性4人組。

      なんやろう?ヌートリアでも見てはるんかなぁ。
      横を通り過ぎる私。声が聞こえた。あぁ、鯉を見てはるんや。

      歩く私の背後から、歩き出さはったひとたちの声が

      「ほら、見てみ!あそこ、ジャコの群れ!!」
      「よぉけ(たくさん)おるわ!なんやろ?鮎やろか?」
      「いや、鮎はおらんやろな」

      背中で聞きながら、思わず笑ってしまった。
      4人のうち1人のひとがしゃべってはる。あとの3人は聞き役。
      あのひと、よっぽど魚が好きなんやろうなぁ(笑)


      父も、魚釣りが大好きやった。
      私が子供の頃は、毎朝釣りに行ってはった。
      川遊びもよく連れてってもらった。

      愛知県のふるさとは、海も、山も、すぐ近くで、
      若い頃から魚とりも山菜とりも上手かったという。

      会いたいなぁ、お父ちゃんに。

      心の中で、思わずつぶやいた。
      楽しそうな4人のひとたち。
      思い出す父の姿。


      ひとは、身体がなくなってしまっても
      覚えていて思い出すひとがいる間は、生き続けているんやと思う。

      秋の日。
      よく晴れた土手を歩く。

      大好きなひとは、いつもそばにいる。



       

      大きな背中

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        木を削りながら、思い出すのは大きな背中。
        先週、奈良国立博物館で開催中の「白鳳展」に行ってきた。

        薄暗い館内はたくさんの人。ガラスケースの前をゆっくりと流れていく。
        お久しぶりの仏さまや、はじめましての仏さま。
        お寺におられるときは見られない、横からのお姿や、後ろ姿。
        正面からとは全然印象の違う方もたくさんおられて、とても勉強になる。

        会場の中ほど、順番に進んできて、「さぁ、次の展示室へ・・」と振り返って

        「えっ!?」

        そこにおられたのは、大きな大きな仏さま。

        薬師寺の月光菩薩さまだった。

        今回出で来られてるのは知っていて、お会い出来るのを楽しみにしていたのだけれど、
        私は20年以上お会いしてない間に、
        自分の中で“等身大より少し大きいお姿” と勝手に思い込んでいた。

        頭が混乱したまま、足元へ引き寄せられていく。
        見上げた先には凛々しいお顔。
        そっと後ろへまわらせていただく。初めて見るお背中。息をしておられるようだ。

        しばらく見惚れて、ぐるり一周させてもらって、また後ろにもどって。

        今生で、あと何回お会いできるかわからないけど、後ろ姿を見せていただけるのは、これが最初で最後かも・・
        そう思いながら、やわらかな後ろ姿をしばらく眺めていた私。

        「しっかり仕事しなさい」 そう言われた気がした。


        いろいろな素材でつくられた、たくさんの仏さまにお会いした。
        いつも思うんやけど、
        最初からそのお姿で、そこに存在してはったように思うんやけど、そうやなくて、
        誰かがつくったものなんやなぁ・・って。

        誰かがつくったものなんやけど、そのことを忘れさせる存在として、そこにおられる仏さま。

        私も“楽しい”と“苦しい”と両方の気持ちを感じながら、これからも彫っていくんやろうなぁ。
        そんなことを考えた秋の一日だった。

        昔々から今日まで、
        たくさんの職人がいて、たくさんの仏さまが生まれた。
        名は残らなかったけど、つくったものは残って、今もたくさんの人が手を合わす・・
        そんな仏さまがたくさんおられる。仏師の仕事って、すごいなぁ。

        私の父も、その中のひとり。

        父のように、たくさん彫ることは出来ないけれど、
        父のように、ひとつひとつ丁寧に仕事をしていこうと思う。


         

        秋晴れの日に

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          今日は気持ちのいいお天気やった。朝からシーツの洗濯、その後仕事場の掃除。

          世間はシルバーウィークで連休の人も多いらしいけど、ウチは二人とも仕事なので関係ない。

          楠、桂の仕事を一区切りして、白檀の仕事に取りかかるので、木くずが混ざらないように、念入りに掃除する。
          座布団も表に持ち出して、ぱんぱん!とホコリをはらう。
          叩いても叩いてもいつまでもホコリが出るので、適当にあきらめる(笑)

          ほうきで掃いたあと、掃除機もかけて。
          窓からは爽やかな風が入って、空気も入れ替わり、気持ちも引き締まる。

          おりんを鳴らす。
          般若心経を唱える。

          気持ちも晴れ晴れと、次の仕事に向かう。



           

          雨降りの午後に思ったこと

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            台風は過ぎたけど、今日も雨降り。
            今日しなければならないことをメモ用紙に書きだして、朝から順番に片づけている。

            三十代の頃は、いくつもの用事をちゃっちゃと段取りして並行してこなせたけど、
            四十代半ばも過ぎて、今は、書いとかへんと次々抜けていく汗

            若返れることはないので、今の自分のペースで、やっていくしかないよなぁ・・と。


            彫ることも同じで、
            昔自分が彫ったものを見て、
            「今、こんだけ細かくすっきり彫れへんかも」 と思うものもある。
            でも、昔の自分には彫れへんやろうな、と思うものもある。

            歳を重ねて、
            いろんなことがあって、
            やわらかい表現が出来るようになった。
            ひとの心に寄り添うものが、彫れるようになってきた。


            技術力では二十代の頃の方が、勝る部分もあると思うけど、
            表現力では四十代の今の方が勝ると思う。

            尖ってた昔の自分。丸くなった今の自分。


            歳を重ねるのは、悪いことばかりやないなと思う。


             

            見えないところも手を抜かない

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               先日彫った、蓮の花の裏側。 



              中心に、こんな小さなパーツを彫って、花びらの合わせ目の目隠しにかぶせています。


               楠の板を、うす〜く削って。


              花びらの根元と花の中心にある茶色い丸は、穴をあけて差し込んである補強のダボ木です。

              花びらの貼り面が少ないので、外れないように補強しました。

              置いているときには見えない部分ですが、やっぱりきっちり仕上げないと。
              職人として、当たり前のことだと思います。



               

              新作のブローチ

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                 ブローチひとつ出来あがって、次のブローチにとりかかる。

                娘に見せたら、
                「うわぁ〜、好きそうやなぁ〜(笑)」って言われた。

                そう、こんなふうに結んだり重なったりを彫るのが大好きおんぷ



                 

                不安定な天気

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                   くつろいでる黒にゃんこ。 お腹だけ白い。


                  さっきから「ざーっ!!」と、降ったり止んだりの繰り返し。
                  朝鳴いていたセミの声も、聞こえなくなった。

                  あんなに暑かった夏が、遠く感じる。



                   

                  京都 響展 stage6 に行って来ました

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                     二条大橋の上から見た母校。 久しぶりに通る道。

                    何年ぶりやろう? 柳の木の下をくぐり抜け、川沿いの通学路。なんか、ちょっとドキドキした。
                    京都市立銅駝美術工芸高等学校。
                    実習棟と体育館の間の消防通路から見えた狭い狭いグラウンドは、昔のままで、
                    実習服洗濯して、高鉄棒に干してたなぁ〜とか、蹴鞠が流行ってて、男の子たちがいつもやってたなぁ〜とか、いろんなことを思い出した。
                    玄関の前まで行こうか迷ったけど、また今度の楽しみに、夷川通りをそのまま西へ。
                    今日の目的地は、idギャラリーでの「響展」。



                    私が着いたときは、ちょうどお客さまの波が去ったところで、
                    ゆっくりと、順番に音を聴かせてもらうことが出来た。



                    大きさも、仕上げも違う、おりんたち。 もちろんひとつずつ、違う音。


                    これだけたくさんのおりんと出逢えるのは、この会場だけなので、毎年本当に楽しみ♪
                    自分のお気に入りの音を探す、幸せな時間。

                    そうこうしている内に、次のお客さまの波が・・
                    みなさん思い思いに音を聴いて、悩んで悩んで選び抜いて、
                    大事そうに包みをかかえ、満ち足りたお顔で帰っていかれた。

                    それぞれのひとの、日々の暮らしに寄り添っていくんやろうな。


                    私たちの仕事は、すべてのひとに受け入れられるものではないのかもしれない。
                    水や食べ物と違って、なくても生きていけるものかもしれない。

                    でも、必要に思ってくれるひとも、きっとおられるはずやから。
                    それを手にすることによって、
                    心が安らぐひとが、出会えてないだけで、まだきっと、たくさんいはるはず!!

                    会うたびいつも、そんな感じに、励まし合って仕事をしている(笑)


                    二方屋さんの「響展」、9月9日までです。
                    まだ、耳に音が残っています。深い余韻のおりんです。
                    今夜は気持ちよく眠れそう。














                     

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