ちょっと仕事場が寒くなってきたので、膝かけを使い始めた。
母の手縫い。もう20年以上愛用している。
父も同じものを使っていた。だから私も、仕事をするようになったときに、母にお願いして縫ってもらった。
父以外にも、私の知ってる職人さんは、みんな使ってはったように思う。
子供の頃、家の近所にあった仕事場には、父の弟弟子にあたる職人さんが何人か住み込みで修業に来てはった。
今思えば、若くて独身の職人さんたちは、誰につくってもらってはったんやろう?
故郷のお母さんやろうか、それとも自分で縫うてはったんやろうか?
でも、私が修業にいった先では、誰も使ってはらへんかったなぁ・・
この膝かけ、袋状になっていて、すっぽりかけると温かい。
削った木くずが膝かけの上に落ちるので、散らからない。
父が使っているのを小さい頃から見て育ったので、あって当たり前のものと思っていたけど、
百貨店で実演させてもらっていたときに、お客様から
「あら、刺し子ね」と言われて。
ギャラリーでは「よぉ考えてあるなぁ!」と感心されて。
白い膝かけ、白い袖口(アームカバー、これも母の手作り)、白生地に包んで彫りあげる仏さん。
みんな同じ布。その三つをいつも使ってた父。
私は袖口はしないけど、あとの二つは父と同じ。
「女には無理や」と言われ続けながらも、なんとか説得して同じ道に入ることを許してもらった私。
そんな娘からのお願いに、母は、何を思いながら、一針一針縫ってくれたんやろう?
自分ではよぉ縫わへんから、母が元気なうちにもう一枚お願いしよか・・とも思っていたけど、
これだけ長く使ってもまだまだきれい!きっと一生、大丈夫。
大事に使うな、ありがとう。