ただひとつの
私は自分の作品にあまり執着がない。
注文制作でお仕事することが多いので、デザインから考えて一点ものの作品も多いのだけれど、写真を撮って残しておくことも少ない。
展示会用の作品も、木の顔を見て、その木目、大きさに合わせて形を決めて彫るので、そのときそのときで違うし、「前、あんなやつがありましたよね?もうないんですか?」って言うてくれはって、焦るときもある。
私が作るものやけど、私のものではなくて、持ってくれはるひとのものやから・・と思っているので、行った先で、大事にしてもらえてたらそれでいいと。
でも、カタログ販売でお取り扱いしていただいてるものは、一定のサイズでたくさん作るので、さすがにそういうわけにはいかない。
このハートの和つなぎもそう。縦35ミリ、横25ミリのハートが二つつながったデザイン。
でも、型紙は作っていない。縦横測って印をつけて、ひとつずつ、ハートを描いてノコギリを入れる。
型紙使うと「量産している」って感じになるのがなんとなく嫌で。
数を彫っているから手が覚えてしまっていて、型紙なくても型紙で引くのと同じくらいの線になるから、カタログの写真とほぼ同じには作れるし。
同じデザイン、同じ大きさでも、みんな行く先は違うし、行った先で「そのひとだけの」ものになるんやから、
全部「一点もの」の気持ちで仕事したい・・という私の思い。
ひとつひとつ、木を選んで、鉛筆で線を入れて、穴を開けて、ノコギリを挽いて、彫刻刀で削って。
彫り進めて、重なってたハートをつながったハートに仕上げていく。
どんなひとのところにいって、どんな服に合わせてもらって、どんな所に出かけていくんやろう?
どんな思いで手にしてくれはるんやろう?
どの作品も、木も違うし、持ってくれはるひとも違うし、「ただひとつ」のもの。
そんなご縁をこれからもつないでいけたらな・・と思う。
- 2016.07.31 Sunday
- 仕事
- 19:29
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- by けっち