静かなネコたち

0

     ウチの営業部長。今度の東京も一緒に行きます。

     

     

    私が彫るネコは、地味やと思う。

    色もほとんど付けないし、超リアルに彫っているわけでもないし。

     

    なので、他の作家さんたちのネコと一緒に並べると、埋もれてしまってめだだない。

    以前何度か声をかけていただいて、合同のネコ展に参加させてもらったときに実感した。

     

    でもね、さわってもらうと「あぁ、ネコやぁ〜」って。

    きっと感じていただけると思う。

     

    ネコに限らずやけど、作品をつくるときに心がけていることは、木の感触を大切にすること。

    手にとったときに気持ちのいいように、その木の個性が生きるように、考えて仕事をしている。

    それから、長く大切にしていただきたいので、飽きのこないように、なるべくシンプルに。

    自分の技術をてんこ盛りに詰め込んでごちゃごちゃした作品ではなく、持ってくれはるひとの思いが入り込む隙間のある作品にしたいと思っている。 そして、手にとってくれはったひとが育てていってくれはったらいいな、と思っている。

     

    私が本格的にネコを彫るようになったのは、愛猫「大吉」とお別れしてから。

    楠の木の、つるっとひんやりとした感触が、大吉の毛並みの感触と似ているなぁ・・と思ったから。

     

    だから、耳の間のおでこの感触や、あごの下の曲線や、ネコのさわり心地を、ゆるやかにさりげなくやけど、彫り込んでいるつもり。

    顔を彫らずに仕上げるネコもいる。

    顔がなくても表情はあるし、持つひとがいろいろ感じていただけたらいいと思う。

     

    「しっぽにゃん」このコたちを彫るとき、ウチのコが窓の桟の所で昼寝してたのを思い出す。

     

    呼んだらしっぽだけで返事してたよなぁ〜とか、振り向いたときのどんぐり目玉とか、

    逝ってしまったあのコたちを思い出しながら、木を削り、生み出すネコたち。

     

     

    どこかで 

    誰かと、そのひとの大切なネコさんと、つなぐ役目が出来たらいいな。

     

    そんなことも思いながら、ネコを彫っています。

     

     

     

     

     


    あの頃のように

    0

      桜や紅葉の葉っぱが色付き始めて、だんだんと秋らしくなってきた。ウチの柘榴もほんのり色付いて。

       

       

      窓を開けて仕事をしていると、肌寒く感じるようになってきた。急に涼しくなったので、体調管理に気をつけないと。

      一日一日、展示会が近づいてくる。

      初めての、東京での個展。楽しい気持ちと、不安な気持ち、両方持って仕事に励んでいる。

       

      今回心強いのは、東京在住の幼なじみとそのお母さんが、在廊のお手伝いに来てくれること。

       

      彼女とは小学校1年生からの友達で、家が近所で、家族ぐるみのおつき合いやった。

      「大きくなったら、お父ちゃんの後継いで仏さん彫るねん!」と言っていた子供の頃の私を知っている友。

      そして仏さん彫ってた私の父のことも、よく知ってくれている、とっても心強い助っ人だ。

      私がこの道に進んだのは、あの父がいたからで、今回の展示会では父のことも少しお伝え出来たらな・・と思っている。

       

      「玄関入ると木の香りがして、

      遊んでいると奥の部屋からお父さんの木を削る音と木くずを吹き飛ばす息の音がして」

      と、今も覚えていてくれている彼女。

       

      その彼女が東京に引っ越したのは、確か中学2年のとき。

      それからは数えるほどしか会っていないけど、それでも途切れることなく、今までつづいてきた二人。

      お互い、いろんなことがあった。

      別々に過ごした時間は長く、知らないこともいっぱいある。

       

      そんな二人が、あの頃のように、一週間やけど一緒にいれる。

      東京と京都に離れて35年近く経っている。

      夕暮れまで遊んで、「また明日〜」ってバイバイしていたあの頃みたいに、「また明日!」って言える日がくるなんて、思ってもみなかった。

      今回私は、そのことがとっても嬉しい。

       

      忙しい仕事を段取りつけて、手伝いに来てくれることに感謝して、残りの日々、しっかり準備して、東京に向かいたい。

       

       

       

       

       

       


      丸刀用の砥石たち

      0

         

        今でも父の道具を借りるときは、「お借りします」

        使い終わったあとは、「ありがとうございました」 と、必ず声をかける。

         

        父のあの手はもうないのだけれど。

         

        なによりも、道具を大切にしていたひとやから。

         

        上の写真は、丸刀の裏研ぎ用の砥石。彫刻刀は裏も表も両方研がないと、切れるようにならない。

        平刀や切り出し刀は平らやから、まっすぐ研げばいいけれど、丸や三角は表と裏では使う砥石の形が違う。

         

        彫刻刀の大きさ、形に合わせて削ってつくられている砥石。溝が彫られた台も、もちろんお手製。

         

        自分の仕事がしやすいように道具をつくる。

        職人さんって、すごいなぁって思う。

         

        使わせてもらえることに今日も感謝して、仕事をしている。

         

         

         


        個展のお知らせ

        0

          金木犀の香る季節になりました。

          暑い間体調が悪くて、ブログお休みしてました。楽しみに読んでくださってる方、申し訳ありませんでした。

           

           

          月が変わって、「うわぁ〜、いよいよやなぁ困る」と、心臓が痛くなってます汗

          来月の個展に向けての最後の追い込みです。

          娘も学園祭に向けてバンド練習が忙しくなります。

          「お互いがんばろな〜!!」と、今朝も声をかけ合って、大学に行く娘を見送りました。

           

          夜になると、秋の虫の音、自分が木を削る音、木くずを払う息の音。

          それらを聞きながら、いろんな段取りを考えながら、仕事をしています。

           

          蓮華の花びら1枚彫るのにも自分で目標タイムがあって、しょっちゅう時計を見ながら仕事しています。

          でも、「時間やしこんなもんで・・」なんて妥協することは出来ないので、

          どの角度から見ても納得するまで仕上げていると一日のノルマの半分しか仕上がらなかったり・・

           

          娘が小さかった頃、「自分が三人いればいいのに」とよく言うてたなぁと思い出しました。

          仕事する自分と、

          家事をする自分と、

          娘と遊ぶ自分と。

           

          今やったら、

          家事をする自分と、

          仕事をする自分×2(笑)

           

          彫ることだけは誰にも助けてもらえへん。

          よぉ〜くよぉ〜く、わかっていること。

           

           

          11月の東京では、私にしか作れへんものを皆さんに見ていただく。

          そして、私や、父や、ほかの職人さんたちが、

          どんなふうに、木と向き合って、どんなふうに、仕事をしてきたか、

          それをお伝え出来る場になればな、と思っています。

           

          ラスト1ヶ月、いつも以上に細かい仕上げの作業が続きます。

          息を止めて彫っている時間が長くなってて、肩こりも背中の張りもMaxです。

          パソコン作業がつらいのでやっぱり更新はぼちぼち・・になると思いますが、お許しください。

           

          娘の大学の学園祭と、自分の個展の日程が丸被りで、歌うとこ見に行けへんのが残念なみだですが、

          それぞれの場所で自分の役割をしっかり果たして、「頑張ったよなぁ〜!」って言えるようにしたいです。

           

           

             竹内勢津子木彫展 仏も猫もこの手から

           

             11月1日(火)〜6日(日) 11:00〜19:00(最終日17:00まで)

            galleryTEN  東京都台東区谷中2-4-2

           

           

          初めての東京個展です。

          「お久しぶり」の方も、「はじめまして」の方も、お会いできるのを楽しみにしています。

           

           

           

           

           

           


          1

          calendar

          S M T W T F S
                1
          2345678
          9101112131415
          16171819202122
          23242526272829
          3031     
          << October 2016 >>

          selected entries

          categories

          archives

          recent comment

          • おりんを包み込む蓮の花
            setsu
          • おりんを包み込む蓮の花
            corin
          • つながる思い
            setsu
          • つながる思い
            Sayoko
          • 黒檀の蓮華
            setsu
          • 黒檀の蓮華
            rico
          • 白い花
            setsu
          • 白い花
            マリ
          • 雨降り
            setsu
          • 雨降り
            マリ

          recommend

          links

          profile

          search this site.

          others

          mobile

          qrcode

          powered

          無料ブログ作成サービス JUGEM