八寸五分の鉋(かんな)
父の使っていた鉋(かんな)ちょっと不思議な形。
裏側はこんなふう。
たぶん、元々刃が入ってた部分の横が割れてしまったんやろう。
釘を打って止めてあるし、刃が出る部分は木を埋めて塞がれている。
「竹内」の「タ」が彫り込んであるから、修業時代から使っていたんやろうか?
一人で仕事しているなら、名前を彫る必要はない。
仏さまを彫るとき、原木からノコギリで切り出して、鉋をかけて、きっちりした直方体にする。
大きい仏さまは寄せ木で作るから、そのときにも鉋は重要。
張り合わす木がきれいに鉋かけが出来ていないと、貼り面に隙間が出来てしまう。
今は電動鉋でしてしまう人が多いんやろうけど、昔は手作業。
道具は大切にするひとやったけど、
きっと、特別思い入れのある道具やったんやろう。
割れた台を直して、反対側に新しい穴を彫って刃を入れて、使い続けたくらいなんやから。
何度も金槌で叩かれて、潰れた角。 たくさんの木を整えた、木の台。
手に馴染む滑らかな曲線。 この木には、父の時間が染み込んでいる。
その上に、私の時間も重ねられていく。
- 2017.01.29 Sunday
- 道具たち
- 23:32
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- by けっち