今年の夏の思い出は
8月31日。私が子供の頃は、夏休みの最終日。
でも、娘の時代には京都市は8月最終週には学校が始まっていたので、あまり特別な思いはない。
遠い日の自分が子供の頃の記憶より、まだ最近の親としての記憶の方が強く残っていて。
それでも一生懸命思い出してみたら、
田舎の海やったり、
毎日行かされた学校のプールやったり、
やっぱり休みの終わりに苦労した宿題やったり(笑)
絵日記って描かされたなぁ。
大人になると、特に変わりなく繰り返される季節の中で、
「今年の夏の思い出は?」
なんて誰かに問いかけられることもなく、
発表する機会があるわけでもなく。
でも、今年の夏はちょっと自分の胸にぐっとくる出来事があって。
花火大会に行く事になった娘に
「浴衣ってあったっけ?」と問いかけられたのが始まりなんやけど。
宇治川花火大会がなくなってから、もう何年経つやろう?
私が子供の頃も、
娘が子供の頃も、
見に行っていた花火大会。
親と行っていたのがいつしか友達と行くようになり、恋人と行くようになり・・
地元では誰もがそんなふうに、思い出を重ねていく行事やったけど、
残念ながらなくなってしまった。
その後、花火を見に行くことはなかったけれど、娘は今年、琵琶湖の花火を見に行くと言う。
「浴衣なぁ〜、あったはずやけどなぁ」
どこにしまい込んだやろう?
探さなあかんなぁ。
でも、買ってやったのは確か娘が高校生の頃。
安物で生地も薄くて。
それでも喜んで着てくれてたけど、娘ももう22歳。
大人なんやし、もう少し良いもん着せてやりたい。
忙しい娘にかわって、何軒か下見に行った。
めちゃくちゃ良いもんはよぉ買うたらんけど、これくらいならなんとかなるかな?
「浴衣、買いに行こか」
そう言ったときの娘の驚いた顔。
そして二人で選びに行って。
何着かお気に入りの柄を選んで、試着させてもらう娘を、見つめていた私。
広げて袖を通すと、吊してある状態でみているときと全然柄の印象が違って。
1着ずつ違う雰囲気になる娘を「へ〜〜」「おぉ〜〜っ!」と眺めていた私(笑)
ふと、その昔、振袖を選びに連れて行ってくれたとき、
母はこんな気持ちやったんかなぁ?と思った。
買ってもらえる本人も嬉しいけど、
買ってやれる親も嬉しいんやな。
浴衣と振袖では、値段のゼロの数が違うけど、
揃えてやれることへの誇らしい気持ちや、
無事に生長してくれたことへの喜びはきっと一緒なんやないやろうか。
振袖姿の私と並んで撮った写真の、父のめちゃめちゃ嬉しそうな顔も思い出した。
「お父ちゃん、お母ちゃん、ありがとう」
今さらながら、そう感謝した。
花火大会当日、
髪のセットは、ずっとお世話になってる美容師さんに素敵に仕上げてもらって、
浴衣の着付けは、結び帯やったから私にもなんとか出来て。
「ありがとう」と何度も言って、
嬉しそうに娘は出かけて行った。
髪に、私の彫ったかんざしを挿して。
これが、今年の夏の一番の思い出。
あと何年、そばにいてくれるのかわからへんけど、
幸せな時間をくれた娘に感謝している。
そして、
たくさんお仕事いただけるようになったから、こんなことがしてやれるようになりました。
そのことにも、皆さんにも、深く感謝しています。
これからも精進していきますね。
よろしくお願いいたします。
- 2019.08.31 Saturday
- 二人
- 17:00
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- by けっち