仕事部屋は寒いので、南向きの台所で。
一昨昨日に和つなぎの荒彫りをして、右手親指の爪がえぐれてしまった。
昨日、一昨日はブレスレットの玉を彫って、右手親指と人差し指の感覚がなくなってしまった。
なので今日はお地蔵さんの仕事。
仕上がる頃には爪も伸びてきて、また次の荒彫りが出来るはず。
彫るものによって、力のいれ加減が違うから、負担のかかる部位も違ってくる。
なのでなるべく同じ仕事を続けへんようにして、身体を守りながら仕事をする。
まぁもちろん、そういうわけにいかへんときもあるんやけれど。
待っててくれてはるひとがたくさんいはる。
自分も彫りたくて彫れてへんものがまだたくさんある。
だからまだまだ仕事がしたいと思う。
仕事場に置いてある1枚の写真。
父と二人で笑顔の写真。
姉の結婚式の後に撮ったもの。
その数時間後に、父は心筋梗塞で逝ってしまった。
人って、いつどうなるかわからへん。
一番身近で大切なひとが、そう教えてくれた。
それを自分に戒めて仕事するために、
数年前からその写真をそばに置くようになった。
病気、事故、災害、
どんな形でかはわからへんけど、必ず人生の幕は下りるし、
明日も目が覚めて、
美味しくご飯が食べられて、
元気に動けるってことを当たり前のように思ってるけれど
ほんまはそれは、
奇跡みたいなことなのかもしれへん。
でも
今日が人生最後の日!みたいに思って無茶してしまったら、
やっぱりしんどくなってしまうから、
明日も明後日も続いていくと信じて、
段取りつけて生きていくわけなんやけど。
きっと、
どれだけ仕事しても、
「あぁ、もっと彫りたかったなぁ〜」って、最期のときに思うんやろうな。
でも、
「まぁ仕方ないなぁ〜」って、あきらめて旅立つんやろうな。
その日が明日なのか、数十年後なのかはわからへんけど、
残された時間を大切に、
ひとつひとつ彫り続けていくだけ。
今日仕事が出来てることに感謝して。
どうか明日も明後日も、と、
心の中で願いながら。